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それから琴子は、
壁を、すり抜けて、すり抜けて、
何となく自分の教室に行った。

そして何となく自分の席に着いた。

月明かりだけが差し込む琴子しか居ない教室は
シーン、と、していて
どこまでも静かだった。

静か故。どこからか
ポチョン。ポチョン。
という音が聞こえてきた。

耳をすませて、音を辿ると……
北校舎3階女子トイレの水道から
一定の間隔を空けて、
水が垂れている事を発見した。