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「おはようございまーす」
「はーい、おはよー」……

家から徒歩10分。学校に到着した。
2年になって植物係になった琴子は
中庭の花壇に毎朝水をあげるのが日課だ。

「あっ…咲いてる」

花壇の隅の方に吸い寄せられた視線の先で
一輪の花が咲いていた。

昨日は咲いてなかった。

つい、笑みがポロッと溢れた。
この花は琴子にとってちょっと特別で、
若干他の花よりも
贔屓してしまっているかもしれない。

ジョウロをゆっくり傾けて水をあげる。

花が咲いた。

それだけで、
朝から琴子の心はパァッ…と明るくなった。