俺はリビングに戻り、鳴り続ける固定電話の受話器を取ってしまった。



「白岩か!?お前、何をしていたんだ今まで!電話にも出ずに!学校に来てもお前の席はないぞ!入学式でお前は周りの人を絶望させた!お前のようなヤツに学校に来る資格はないが、そんな中先生がチャンスを与えてやってるんだ!俺は白岩のことを思って……!」



名乗ることもせずいきなり俺の名前を呼び、受話器の向こうの人間は鼓膜が破れそうなくらい大声をあげた。

聞いたことのある声。


分かっている。俺が何をしているのか、向こうの相手が誰なのかくらい。

それでも、身体が拒否反応を起こさずにはいられなかった。


うるさい、うるさい、うるさいんだよ。

偉そうに説教をするその声を聞くと、あることを思い出す。

だから、嫌なんだ。



「おい白岩!聞いてるのか!」



その言葉を最後に、俺は電話を無理矢理切った。

息が少し乱れている。この一瞬でひどく疲れた。