6時前の外はまだ少し薄暗くて人の影はなく、鳥だけが元気に鳴いている。

それでも電気の点いている家が多いように思える。こんなに早くから起きているのか。


俺は、朝が嫌いだ。町や人々がやる気に満ち溢れていて、気後れしてしまう。

嫌いというか、苦手といったほうが正しいか。俺にとって朝は、いい思い出がない。


なにかが起こるのは、いつも朝だったから。


とりあえずこの町の駅に着いてみたものの、そこからの行き方が分からない。

金なんてないし、さすがの俺でも電車に無賃乗車しようだなんて思わない。


仕方ないから、線路に沿って歩くことにした。

そうすれば、いつかは目的地に着くだろう。


空は、時計の秒針が進む速さでどんどん明るくなっていく。