今はまだ、折れた翼でも

私たちは家に上がり、一つの部屋のドアを開けた。

ここに来る前に、階段を一つ上がってたくさんの部屋の前を通ったのだけれど……。

部屋の中には、ベッドが一つと背の低い丸テーブルが一つが見える。

シンプルだけど、とても高級感の漂うお部屋だ。


でもこれ、流星くんの部屋とかじゃない、よね。



「まだ具合悪いんだろ。ここで休んでいけばいい」



流星くんが振り返り、私を視線で促す。

奥にあるのは、ふわふわそうなベッド。

横になったら、きっと気持ちいいんだろうな……。



「い、いいんですか?」

「別に、そのために呼び止めたわけだし。……で」



すると流星くんは望くんの右手首をがしっと掴んだ。



「お前はこっち」



流星くんは望くんをひっぱって、外へ出る。

そしてそのまま、長い廊下を歩いて行った。



「あ、あの、ありがとうございます……!」



聞こえなくなるうちに、と思いせいいっぱいの声の大きさでお礼を言って頭を下げる。