今はまだ、折れた翼でも

「......流星。白岩流星。……白岩望の、一つ下の弟だ」


「……えっ、ええっ」



しらいわ、りゅうせいくん?望くんの、弟?

一つ下ってことは、中学三年生ってこと?

あまりのことに、驚いて声が出ない。


望くんと似てたのは、そういう理由……!?

『弟』として意識すると、たしかに見れば見るほど似ている気がする。

そういえば、竹林さんが話の中で三人兄弟って言っていたような。



「そんな驚くことかよ。とっくに分かってると思ってたわ」

「おい、お前」



望くんが声を少し荒げる。

だけど……流星くんはどこ吹く風でまた歩き出した。

頭が少しぼんやりするから難しいことは考えられないけど、兄弟ってことは理解した。


玄関先で二人の女性に迎え入れられる。



「おかえりなさいませ、流星さん」

「ああ。……今は誰もいないから、気軽にしてろ」



私たちのほうを向いてそう言う流星くん。

誰もいないってことは、この方々たちはいわゆるメイドとかってことなのかな。

メイドさんたちが着ているのは、黒いワンピースに白いエプロン。まるでファンタジーの世界みたい。