私はもう一度足に力を入れて自分で立つ。
なんだか、やる気が満ちてくるようだった。
「ありがとうございました。私、頑張ります」
「は?あんた、この状態で自力で歩くわけ?どこ行くの」
「望くんのところです」
私がそう答えると、男の子は、心底ありえないみたいな顔をした。
「絶対家で休んだほうがいいって。てか望のところに行くって、どういうことだよ」
「……そのまんまの意味、でしょうか。私、こんなだけど、望くんに会わないと帰れません」
望くんに会う前と比べると、ずいぶん意思が強くなった気がする。
……自分の足で行かないと、意味がない。
「ごめんなさい。……ありがとうございます。本当に」
「…………そうかよ。まあそもそも、俺らは他人なわけだし、変なお節介焼くのもおかしいよな。また倒れるんじゃねーぞ」
男の子はそう言って、追い越して私の歩いてきた方向へ行ってしまった。
私は振り返り、謝罪と感謝を込めてゆっくりと頭を下げる。
もしあの男の子がこの治谷市に住んでいるのだとしたら、また会えるかもしれない。
いい人だったな、と思いながら考える。“また会えるかも”じゃなくて、“また会いたい”と。
そのときは、ちゃんと改めてお礼を言いたい。
なんだか、やる気が満ちてくるようだった。
「ありがとうございました。私、頑張ります」
「は?あんた、この状態で自力で歩くわけ?どこ行くの」
「望くんのところです」
私がそう答えると、男の子は、心底ありえないみたいな顔をした。
「絶対家で休んだほうがいいって。てか望のところに行くって、どういうことだよ」
「……そのまんまの意味、でしょうか。私、こんなだけど、望くんに会わないと帰れません」
望くんに会う前と比べると、ずいぶん意思が強くなった気がする。
……自分の足で行かないと、意味がない。
「ごめんなさい。……ありがとうございます。本当に」
「…………そうかよ。まあそもそも、俺らは他人なわけだし、変なお節介焼くのもおかしいよな。また倒れるんじゃねーぞ」
男の子はそう言って、追い越して私の歩いてきた方向へ行ってしまった。
私は振り返り、謝罪と感謝を込めてゆっくりと頭を下げる。
もしあの男の子がこの治谷市に住んでいるのだとしたら、また会えるかもしれない。
いい人だったな、と思いながら考える。“また会えるかも”じゃなくて、“また会いたい”と。
そのときは、ちゃんと改めてお礼を言いたい。



