今はまだ、折れた翼でも

すると男の子は怪訝そうに眉をひそめた。



「は?他人に個人情報なんて教えるわけないだろ。聞くならまずそっちが名乗れよ」

「あ、そうですよね……。すみません」



そりゃそうだよね。当然のことだ。

でも、男の子は口調こそ冷たいものの、まだ私のことを支えてくれている。



「わ、私は、鳥越映茉。高校一年生です……」



軽く頭を下げながら自己紹介する。



「……聞いたことのない名前だな。でも、知り合いなんだろあんた。しかも高一だし」

「知り合いって……望くんと?」



根拠はないけどとりあえず聞いてみた。すると、「ああ」と返事が返ってくる。



「あんたの言ってる“望”って、“白岩望”のことだよな?」

「あ……はい!」



じゃあやっぱり、この人は別人なんだよね。

なんだか、さっきよりも体調がちょっとよくなってきた気がする。

私、望くんを探さなくちゃならない。

たとえ望くんが、ここよりももっと遠い場所にいても。