その2


そのラインは、高校で部活が一緒の親友G子からであった。

≪それ、本当なの?≫

≪間違いないよ。A男がその3年の弟から聞いたっていうから≫

G子からの知らせは史奈に強い衝撃を与えた。

”ついに、ウチの学校も自殺者が出たのか…。ふう…、せっかく東京の野坂先生から力付けられたところだったのに…”

史奈の心は一転、どんより雲に覆われた。

だが…、迷った末、彼女はその夜のうちに、野坂奈緒子へこの出来事を伝えることにした…。

”今夜、野中先生と話して切迫感が感じとれたわ。やはりこっちの動きは間をおかず、あの先生にはリアルタイム把握してもらった方がいいわ…”


***


午後11時半過ぎ、史奈は奈緒子にラインで連絡した。

≪夜遅くすいません。さっき、友達から私達の通う高校の3年生が自殺したって連絡がありました。ウチの学校からは第1号になります。早い方がいいと思いましたので、とり急ぎラインでお知らせさせていただきます≫

≪連絡ありがとう。不安でしょうけど、落ち着いてね。これからも何かあったらすぐ知らせてね≫

ラインのやり取りは最低限の二往復で終わったが、二人は焦燥感を拭えず、その夜はなかなか寝付けなかった。

”和田さんには城田史奈から聞いた話は概ね告げておいたから、明日から九州に入る鷹山さんらにも伝わるわ。何しろ、あっちの情勢はひっ迫してる。中高生のメンタルは極めてナーバスになってる。史奈さんからと話して実感したわ。何とか鷹山さんらが突破口を見つけてくれればいいけど…”

そして翌日…、予定通り鷹山と国上は昼過ぎに福岡へ到着した。