だけど、1つ新しい悩みができた。


「なぁ、太陽…」

「んー?」


教室の窓から見上げる空はなんて清々しいんだ。どこまでも青く広がって透き通ってるみたいだ。

なのにおれの心は全然晴れてやしない。


「デートの勝負服ってどんなのだろう…」

「碧斗何言ってんだ?」


窓の外を見るのをやめて、視線を太陽の方に変えた。自分の席でなんか書いてた。あ、次の授業の宿題か。


「今週はデートなんだ」

「デート!?なんだそれっ」

「親密な男女が予定を合わせて会うことをデートって呼ぶんだよ」

「そんなこと聞いてねぇよ!」


あれは絶対デートの約束だ、あさひと。

もちろんそんなの初めてじゃないけど。今までだって、近くのコンビニ行ったり、公園でブランコしたり、2人でホットケーキだって作ったりしてるんだから。

だけど、駅前のショッピングモールは初めてだから…!

人気の遊びスポットだから!!!

それは気合も入る。服だって迷う。買ってもらうのは難しいから、なんとか家にあるのでどうにかしたい。


「女の子が好きそうな男の服ってどんなのだと思う?」

「俺に聞くなよ!女じゃねぇんだから知るかよ!」


それもそうか、こーゆうのは少しでもリアリティある相手に聞いた方がいいか。


「なぁ、美羽ー!」


前の前の席に座る美羽に聞いてみた。すぐに立ち上がってこっちに来てくれた。
太陽に聞いた質問を美羽にも聞いてみる。そしたら目を輝かせながら教えてくれた。


「胸のところがヒラヒラしてるシャツに、キラキラしたマント付きの高そうな服でしょ!あとはかぼちゃみたいなズボンに白のタイツ履いて…」


思ってたよりだいぶ具体的に教えてくれた。ここまで全く息継ぎしてなかった。


「白馬に乗って来るの♡」


おれの頭の中に一応想像図が浮かんできた。


「だけど物理的に考えて馬は無理だ」

「馬以外も無理じゃないか?」


太陽の頭にも浮かんだらしい。無理だよなって頷き合った。