まさか、エディルが私と一緒に繰り返す運命をすべて覚えていたなんて思わなかった。

「一緒に来て……。もう、この世界には聖女は必要ない。俺がこんな運命に関係する敵はすべて倒してきたから。……だから、一緒にシルにも見て欲しいんだ、新しい運命を」
「エディル……」

 王都中が、英雄の凱旋を心待ちにしていたのかと思うほどの人に出迎えられた。
 横抱きにされたまま、その中を進むのは猛烈に恥ずかしかったけれど、私はようやく自分が悪役令嬢の運命から逃れたのだということを実感したのだった。