だって、私と関わりさえしなければ、努力家で剣の腕も一流で、伯爵家の次男であるエディルはきっと輝かしい人生を歩むことが出来るのだから。

「承りました。シルフィーナ様」

 私の前に、恭しく跪いていたエディルがおもむろに頭を下げ、去っていく。
 その背中は、もう私のことを振り返ることもない。

 ……こんな風に守護騎士を解任されるなんて、経歴にも傷がつく。私たちの信頼関係も。

 きっと、エディルは私のことを許しはしないだろう。

 ――――本当は、絶縁するなんて身が引き裂かれてしまいそうなくらい苦しい。

 静まり返った会場。
 公爵である父が慌てて閉会を宣言した。

 ――――こうして、最悪の気持ちで迎えた私の誕生日は、終わりを迎えようとしていた。