翌日。


自分の部屋の鏡をちらっと見ると、カーキの短パンに黒い風を通しやすい生地の半袖Tシャツの私が見える。


私の足はなぜか海に向かった。


「…綺麗だなぁ」


昼前で少しずつ干潮になってきている。


私は海が好きだった。


…幼い頃までは。


溺れてしまった一件があってから海と言うか、水から背を向けるようになったのだ。


「嫌いなのに来ちゃったんだよね」


私は砂浜に座って海に向けて言う。


「今は深刻な時なのかな」


海は答えてくれない。


私は海と桜の組み合わせが大好きだった。


鮮やかでグラデーションを持つ海と私の名前に入っている透明感を持つ桜色。


私はこの色が大好きだ。


でも、1番嫌い。


「もう分かんないよ」


自分はどんな人なのか。こんな不良をやってなかったら私はどんな人だったんだろう。