「それは、期待してもいいってこと?」


「…うん」


私は素直に答えた。


この2文字をいうだけでどんなに勇気を振り絞っただろうか。


「期待、してください」


すると、頬に何かが当たる感触を覚えた。


右に何かあるなと思ったら、音葉くんの整った顔だった。


整った顔だった、なんて言ってるけど実際近すぎてぼやけている。


「(っ!)」


「本命は、ちゃんと全てが解消してからやるから。覚悟しとけ」


「…バチ当たるからしない」


「んなもん、俺が全部取っ払ってやるわ」


「なんかいつもと違う」


「なんででしょう」


「分からない。教えて」


「…やだ」


結局その答えは聞けないまま、夏休みへ突入した。