1番近くて、1番遠い。

私が教室に帰ると、前から2番目の席の子が机でぐっすり眠っていた。


音葉くんだ。


腕を枕にして気持ち良さそうに寝ている。


私は思わず近寄ってしまった。


そして、髪を撫でる。


「前は、助けてくれてありがとう」


音葉くんと前みたいに喋れないのがもどかしい。


色々なことで気持ちを誤魔化そうとしたけどやっぱりこの気持ちが最強らしく、消えてくれない。


「…もっと、話したいよ」


私はその本心を本人の前で吐き出し、荷物を取って教室を去る。



時だった。



私は廊下に出る寸前で身動きを封じられた。


唯一の手がかりはあの香りだ。


すぐに分かった。


「…ん」


少し眠そうな声が後ろから聞こえた。