[開闢~side開闢総長・音葉琴世~]

騎虎(きこ)が押し寄せてきた。


ソイツが、まさか桜宮に触れるとは思わなかった。


「…何」


桜宮の発したその2文字は、いつもより冷たかった。


俺以外に桜宮に触れている奴が許せない。


しかも相手は悪意を持った奴だ。


ここで俺がちゃんと自分を保てるわけもない。


俺は理性を忘れて飛び掛かる。


すると、俺の殴りと同時に桜宮が強烈な蹴りを入れるのが見えた。


…さすが閃光総長。動きに隙がない。


「お、お前っ!」


倒れた騎虎は動揺している。


「いつこいつに触っていいと言う許可が降りた?」


「お前に許可なんか、」


俺は今自分の感情のまま、野生の本能のまま動いているため、良心というものはなかった。


「消え失せろ」


そう言った途端、俺は理性が戻ってきた。


「くっ!」


その後桜宮は、


「…私の助言はここまで。足を洗った丸田、期待してる」


なんて言って帰って言った。


俺なんかと違う。ちゃんと、自分の後のことを考えている。


「…かえっか。幸樹(こうき)、雅人(まさと)」


「「はい」」


明日は学校だ。


3人にどんな顔を見せればいいのだろうか。