翌日。


私は入学早々、


ドサッ…


「え?」


荷物を盛大に落とした。


でもここは教室。


全然なんともない。


私がかばんの中から出てきた真新しい教科書を拾っていると目の前にいくつかの教科書の束が置かれた。


「ん」


見上げると隣の席の、えーっと、音葉という人がいた。


この人、よく見るとかなりのイケメンだ。


「あ、ありがとう」


「いや」


なんだろう、この気まずい感じ。


「うわ~!美柑ちゃん早速音葉ゲットか!?」


私の後ろからなんとも可愛い声が聞こえた。


「えっ!?」


そこにはあの、巫亜湖というクラスメートがいた。


「おい、何変なこと言ってんだよ」


「これが楽しいの!あ、先に言っておくけどあたし、あんたみたいのはタイプじゃないから」


「じゃあ何で俺に取り巻いてんだよ」


なんで、この人たち親しいんだろ。


「あ、あたし亜湖!…って昨日自己紹介したばっかだよね」


「えっと、桜宮って言います」


「知ってるって!早速呼んでるけど、美柑ちゃんって呼んでいい?」


「いい、けど」


急に2人も来ちゃったから頭が追いつかない。


「あたしのことは亜湖って呼んで!あ、呼び捨てでお願いね!」


「あ、亜湖…?」


「よっしゃ!今日の目標達成!」


そう言って、落ちていた教科書を全部持ってはい、と渡す。


「これからよろしくね」


「よ、ろしく」


1人、話せる人ができました。