「美柑!大変ですっ」


日が傾いている頃。私が帰り道を帰っていると真凜ちゃんが制服のまま駆け寄ってきた。


「真凜ちゃんって、天ヶ瀬(あまがせ)だったの!?」


天ヶ瀬といえばこの七尾市でも有名な不良校だ。


「そんなことはどうでもいいんですっ!五橋から来たやつが朝から荒れてるそうで!一般住民にも被害が!」


そんな大袈裟な、一瞬そう思うが万が一がある。


「すぐに出る。走るよ!」


「はいっ!」


私たちは急いでアジトに向かい、滅多に着ない特攻服の上からワンピースを羽織る。


私は下のズボンをワンピースから見えないように折りながら言う。


「真凜ちゃんは見たの?」


「いえ、私は見てませんが、学校にも来たようで。多分、大掛かりでやってるんだと思います」


大掛かり…、これ以上被害が出たら困る。


「副総長と幹部だけ来て!その他は電話かメールが来たら出動。いつでも出れるように」


「「「「はい!」」」」


「真凜ちゃん、菜緒、真響(まゆら)、智綾(ちあや)、絢(じゅん)、出るよ」


「「「「「「はいっ!」」」」」」


私は見回りを装って、外に出た。