「山内くん」


「…ん?桜宮…!?」


そうなるよね。


「ちょっと待ってね、手当するから」


私は救急箱をとってくる。


「しみる?」


「ちょっと…」


顔と手と足に傷ができている。


「不運だったね」


「そう、だな」


それにしてもなぜ一般人が襲われているのだろうか。


「当たってきた人の特徴って覚えてる?」


「いや…、真っ黒だったので特に何も…」


そっか…


「それにしてもここは…?」


「ああ、ここはね親戚のお家。今おばさんとおじさんはお出かけしてる」


「へぇ」


なんと我ながら完璧な誤魔化し方なのだろう。(2回目)


私もしかしたら誤魔化しの天才なのかもしれない。


「ちょっと顔触るね」


こう見ると山内くんの肌日に焼けており、ザ・部活少年って感じがする。


と思うと音葉くんのあの件を思い出してしまうわけで。


「…っ」


「ど、どした?」


「ごめん、なんでもない」


すると山内くんは私の手を掴んだ。


「えっ!?」


頬に触れられるのが嫌だったのだろうか。


「え、あ、ご、ごめん!何も気にしないで!」


山内くんはすごく慌てた様子で私の手をぱっと振り離す。


「うん…」


顔が赤くなっているけど、この部屋が暑いのだろうか。