そして、あのあと色々あって、お母さんが呼び出された。


もちろん、私にはいい目を向けていない。


「…いいですけど」


「いいのか?」


「はい」


お母さんも私のことをよく思っていないからだろうが、返事が雑だ。


「これから一緒に住ませようと思うがどうですか?あ、家賃などはうちで払います」


い、一緒に住むだと!?


「同棲…ですか」


「意見を聞いても?」


「美柑を幸せにしてくれるなら誰でも。私は、そんな対立関係で色々離されてきましたが、それだから決めてはいけないと長女から教えてもらいました。お恥ずかしいことですが、私もまだまだ未熟だったみたいで」


まさかお母さんがこんなことを言うとは思っていなかった。


「美柑も今まで抱えてきたこともあるでしょうから、琴世くんの隣にいることで解消されることもあると思います。これに私の反論はありません。…ですが、けじめは守って欲しいと」


「僕もそう思います。2人はどうかな?」


お母さんと音葉くんのお父さんの会話が繰り広げられたあと、私と音葉くんに回ってきた。


「同棲…、って何か父さんの事情がある?」


「実はな、父さんあと1ヶ月でイギリスに行くんだよ。働く場所が変わってねぇ」


音葉くんが初耳、と言うふうに驚く。


「美柑さんも、色々と事情があるんだろう?」


「…まあ、そう、ですね」


「仲をより一層深めるためにもこの案件はいいんじゃないだろうか?…と言うのもあるけど」


「…は?」「…はい?」


「さすがにこの家を空けるわけにも行かないから、守っててくれないだろうか?」


そこにも問題があるのか…
「わ、私は大丈夫ですけど」


「俺も」


これで、そ、その、同居?同棲?の話は無事終わり、1ヶ月後に音葉くんのお家にお世話になることに。