「あ、ありがと」


「いや、大丈夫。…本当にごめんな」


「気にしないでいいよ」


すると、音葉くんは甘えるように抱きしめてきた。


「正直言うと、ちゃんと付き合ってから正面から抱きしめる予定だったけど。もう我慢できない」


音葉くんが身近にいると安心する。


「実はさ、」


私はお母さんに家から出されたことを言った。


「…それ、大丈夫なのか?」


「まあ、苺お姉ちゃんもそうだったし…、多分みんな私のことをよく思ってないんだと思う」

すると、音葉くんは私を抱きしめる力を強める。


「少なくとも、俺と巫と志蓮は桜宮の味方だから」


「ありがとう」


「…まあ、桜宮のことを1番好きなのは俺だからな」

「ふふっ、嬉しい」


そして、名残惜しいけど、音葉くんから離れた。


「…今度の日曜日、何も入ってない?」


「うん。大丈夫」


「迎えにくるから」


「じゃあ、また…今度ね」


「うん。じゃな」