1番近くて、1番遠い。

「ごめん」


「美柑ちゃんの用事も終わったことだし、帰ろ」


そして帰り道を歩き出した。


「もう8時だけど」


「…普通に怪しまれるよ、これ」


「晩飯何かな〜」


「あんたは食べることしか考えてないんかい!」


「いや、太らない体質なんで!」


「太る太らないの話じゃないっ」


亜湖と志蓮くんがこんな会話を広げている。


…そういえば…、私、どうしよう…、家に帰れないんだけど…


「あ、亜湖、そういえば、真凛ちゃんは?」


「ああ、あの子は途中で目を覚まして、帰るって言ってた。付き添おうとしたけど、すごく拒まれて」


「他の子は?」


「他の子も、多分ギブして帰っちゃったんだと思う。…これ、大丈夫なの?」


「うん。うちはそうなってるから」


それからなんだかんだ言って、どうでもいいことを話した。


「でな!シチューにな、弟が投げた消しゴム入ったの!」


「最っ悪」


「だろ!?で、殴ろうとしたところを親父に止められた」


「「それはそうだろ」」


亜湖と音葉くんが2人揃ってツッコむ。


「そ、そういえば、音葉くんと亜湖ってどう言う関係?」


「え?」


「どう言う関係…って」


言いにくそうな顔をしている。


「ただの、美柑ちゃんの付き添いで仲良くしてあげてます、みたいな?」


「なんで上から目線なんだよ」


「えーっと、なんか、入学した時から壁がないなぁって…」


すると、2人ともああ、そっち!?って反応して、


「ただただ中学校が同じだっただけ!」


と言う。