1番近くて、1番遠い。

連れてこられたのは、隣の小さい物置。


麗はそこを強引に開けた。


「大丈夫、ですか?」


そこには、見和くんがいたのだ。


「え?美柑ちゃん…!?」


「だ、大丈夫!?」


「すみません、助けてあげられなくて。そ、その、ごめんなさい!」


麗は深々と頭を下げた。


「ううん。大丈夫だよ」


見和くんが優しく宥める。


「元々、山内は人質として使おうと思ったらしいのですが、忘れてたみたいなんです」


…アイツ、どれだけやれば気が済むんだよ!


「私が最後まで見送ります。総長はまだ待ってるんでしょう?あの3人が」


「ありがとう。じゃあ、またね」


そう言って麗と別れた。