1番近くて、1番遠い。

「麗」


私は倉庫裏にいた麗に話しかけた。


「なんですか!?」


麗は少し怒ってるように見えた。


けど、目には水が滴っている。


「怪我、してない?」


「わ、わざわざ敵対していた人に聞かなくてもいいんじゃないですか!?」


「何そんな怒ってるの」


すると、麗の目からたくさんの雫が溢れる。


「だって、裏切ったのに。騙して、傷つけたのに。なんで心配するんですか」


「色々頑張ったんだね」


「色々って…、総長分からないですよ!」


私は、麗を抱きしめる。


「そりゃあ分かんないよ。だって、私と麗のいたところは違うもん」

「それに…、なんで。なんで私を庇ったんですか!よく分からないあの黒い服の人を!仲良くしてるんじゃないんですか!?」


「だって、あの威力、麗倒れるほどだよ?」


「私が倒れるから庇ったんですか?」


「いーや、違う」


「え?」


麗はびっくりしたような声を出した。

「一時期でも私と一緒にいたんだから。仲間である人を大切にしないわけないでしょ?」


「うっ…!」


麗はまた泣き出した。


「そろそろ麗も帰りな」


「はい…っ」


「気が向いたら、いつものところにおいで。ちょっと混乱してるでしょ」


「分かりました」


そして麗は私にお礼を言って、帰って行こうとした。


「総長。ちょっと来てください」


ん?