1番近くて、1番遠い。

「今の私は“紅蓮”じゃないよ。巫亜湖。さあ、その子を親友に任せて」


「亜湖…」


「別に、元々紅蓮は閃光を倒すことなんか考えてないんだよ。この位置が定着してる。この子に害は与えない。約束するよ」


なんと頼もしい親友なんだろう。


けど、少し抵抗があった。


「今は取捨選択が必要だよ。なんたって、緊急事態なんだからね」


取捨選択。


捨てても後で取り返せるものとはなんだろうか。


最優先するものは?


使える道具は?


こういう時に限って、判断が遅れる。


「亜湖。任せた」


私は思い切った判断をした。


亜湖だ。


亜湖だから真凛ちゃんを任せられる。


「うん。…こんな時に理性とは外すものじゃないの?ほら、行ってきな。真凛さんは安全なところに運ぶよ。他の閃光の子も」


「ありがとう。あとでお礼する」


「ううん。大丈夫。あ、ほらほら、時間なくなるよ!終わったら音葉とでもデート行ってきな!」


「い、いやっ!だ、大丈夫だから!」


私はそう言うも、走り出した。


そして、うろついている黒鶫を見つけては倒す。