1番近くて、1番遠い。

「亜湖、その手…!」


華奢で綺麗な手があざだらけだ。


「なーんですか?元々不良って、こんなもんです」


なんてことないように言う。


「私にいつまでも勝っている美柑ちゃんなら分かるでしょ?」


「そりゃあ、分かるけど」


「さて、情報をもらおうかな。黒幕は?」


「黒幕は黒鶫。総長は山内康介、姫が桜宮苺。苺は戦闘ができないはず」


「…もしかして…、姉?」


あの場に居合わせた亜湖は分かったみたいだ。


「そう。裏切られて騙された」


「…そっか」


「開闢、閃光、涅槃が合同で対戦。それに加え、牙城、紅蓮も合わさったとなれば、勝利は目前だ」


「…ごめんけど、紅蓮は私しかいないし、牙城はまだ来ていない」


「…」


黒鶫は大規模なグループ。


一度に開闢と戦ってしまうと、絶対に開闢が負ける。


そう。


黒鶫は大人数で色々なところを吸い取っている上、一人一人が強い。


そして、総長の的確な指示で勝利しているという情報を聞いたことがある。


だが、今は音葉くんによって総長の動きは封じられている。


「美柑ちゃん」


「ん?」


「この子の名前は?」


「真凛ちゃん、だけど」


「副総長だったよね」


「うん」


何をするつもりだろう。