1番近くて、1番遠い。

私は序盤でみんなが下っ端を倒している中、どんどん奥にいく。


これには音葉くんも同じことを考えていたようで。


私は山内の腕を掴み、音葉くんが横から強烈な殴りを入れる。


「…がっ!」


「さて、山内康介。全てを吐いてもらおう」


「そ、それはさっき言ったはず…」


「だが、まだ吐いてないことがあるだろ」


「なんの、話だ…?」


山内がそういった途端、私の腕を誰かが掴んだ。


「み、美柑、やめてっ!」


苺お姉ちゃんだ。


「あれは全部本心じゃなかったの?」

「…!」


お姉ちゃんは唇を噛んでいる。


「私はねぇ、色々と苦労してるんだよ、コイツのおかげで。それなりにしてやらないと、気が済まないっていうか…」


「そ、そんな…!」


「する必要があるというか?」


「み、美柑はそんな子じゃないでしょ!?」


何を今更。


「知ってた?お姉ちゃん。成績優秀なお姉ちゃんには分からないだろうけどさ。私って、不良だよ?そうそうそんな言葉は通用す
るわけがない」


「なんで…、なんでそうなったの!」


「今まで私を騙して、裏切って、人の恩を仇で返したのは誰かな?その人と周りを取り巻く環境からじゃない?そこに私を陥れたのは誰?」


私の口は止まらない。


「もしも!あの大レクにお姉ちゃんが来てなかったら!私は今までどおり過ごせたはずなの!」


すると、横から私は殴られる。


「苺を…、悪いみたいに言うなっ!」


山内だ。


「お前手を出すな。次出したら息止める」


音葉くんがボロボロ寸前の山内に追い打ちをかける。


さすがというか、…普通に怖い。


が、私から良心、理性というものは抜けた。


前科があるから分かるのに。


やったら大きな被害が出るって分かってたのに。



外れたものはしょうがないんだ。