私は何も言えなかった。


武尊さんって誰?音葉くんのお父さんだろうか。


こんなに言われたんだから何を言い返してもいいのに。


感情がぐちゃぐちゃで何も口に出せない。


「分かった?美柑はね、独身でいてくれていいのよ。苺は彼氏がいるみたいだし、もちろん挨拶に来た」


苺お姉ちゃんに彼氏…?


そんなの、初耳だ。


「もう帰ってこなくていいわ!」


そう言って部屋を出て行った。


…理不尽にも程があるじゃないか。


私はいるものだけ持って、アジトに出かけた。