「お~い!集まって~!」


そして大レクリエーションの日。


私たちは体操服を着て、水野自然の森に集まった。


「暑くなる夏の前に、到着地へ向けてハイキングします!着いてきてね~」


山の上にある施設なので登らないといけない。


「暑くなる前にってもう暑いんだよ」


なんて音葉くんが愚痴を言っている。


今気温は32度。


今日は特別に暑い。


「行こ、音葉くん」


前が進んでいる。


進まないと残りの人に迷惑をかけてしまうだろう。


すると後ろで声がした。


「こりゃあ、音葉落ちたな。あんたも思うでしょ?」


「うん。これは落ちた」


…落ちたって何?


「はいはい、歩け」


志連くんがそう言う。


そして何分か歩いた時、何かが見えた。


「お姉ちゃん?」


私はどちらかと言うと視力がいい。


遠くにいる1人の女性とそれを取り巻いている男性が複数人いる。


そしてその女性は、私のお姉ちゃんらしい人だった。


お姉ちゃんは大学生で県外の大学の行っている。


帰ってきたのかな?


でもなんでここにいるの?まわりの人って誰?


そんな疑問ばかり浮いてくる。


「桜宮?」


音葉くんが心配した様子で覗き込んできた。


「い、いやっ、なんでもないよ!?」


こんなんじゃバレバレだ。


「本当に?」


それにしても、この綺麗な顔面が近いとびっくりするからやめてほしい…!


「うん、大丈夫。ありがとう」


音葉くんにはこう言ったが、私は言葉とは裏腹にある仮説が浮いてきたのだった。