(あんのクッソ王子め!)


 宣言通り、エルヴィス殿下はわたしのことを容赦なく扱き使った。
 書類の作成はもとより、ある時は教師たちとの調整に。またある時は生徒達への意向調査に。文字通り殿下の手足となって奔走した。
 二ヶ月後には学園祭なんかも控えているし、正直言って忙しすぎる。


(生徒会長なんてクソ面倒くさいって言ってたくせに!)


 殿下の無駄に良い外面のせいで、本来ならばやらなくても良いような仕事まで生徒会に回ってきている。そのせいでわたしや他のメンバーが忙しくなるんだから、堪ったもんじゃなかった。


「すみません、ザラ。殿下は頼まれると断れない性格で」


 側近の一人、タレ目で中性的な顔立ちをしたレオンがペコリと頭を下げる。殺伐とした生徒会の中で、唯一の癒し系男子。だけど、空気が読めないというか……タイミング悪くわたしの地雷を踏むことが多い人だ。


「……断れない性格?」


 嫌味っぽく言い返しつつ、口の端がヒクヒク動く。