「魔王って、案外孤独なんですね」

光の乙女が俺様に言う。


「魔王の最終目的は何なのでしょう?」

「……魔族による世界征服、か」

「世界征服を成し遂げた後は?
 それを保持するのは面倒くさくないですか?
 この世界に幾つ国が存在するか、ご存じでしょう?
 その各国に部下を配置して、管理させて、その報告を毎日聞いて?」

「……全部の国に配置しなくてもいいし、毎日報告はさせなくても」

「何処から人類の反抗の芽が育つかわからないのですから、早めに摘む為にはちゃんと部下に管理させないといけません」

「……」

「200以上ある国々を管理させる200以上の部下が居るのに。
 トップの貴方が、私を処理する為に自らが動かなくてはいけないなんて。
 1000年以上魔界に君臨していて、本当に信頼出来る部下に恵まれていないなんて、お気の毒に」

「お前……魔王を憐れんでいるのか、たかが人間の分際で!」


本当に信頼出来る部下がいない、と言われた屈辱と怒りを込めて俺様に睨まれたのに、彼女は笑った。


「どうして人類の敵の貴方を憐れむのでしょう?
 孤独だと指摘して、言い捨てただけです」

「……殺すぞ?」