君にかける魔法

『バレてたか…』

恥ずかしさに顔が赤くなる。

『あんたも気持ち伝えなさいよ』

ゆったりと夜景を見ている。


『私はあの時伝えた。未練は無い。今こうしていられるのが嬉しい。』

月明かりに照らされた顔は、その言葉の通り、清々しい表情。

『迷い、戸惑い、不安、顔に出てる』

目の前の彼女とは真逆だ。

隣で寝ている好きな人。

表情、行動、その全てが私をドキドキさせる。

こんな気持ちは始めてだった。


『こんなに愛おしく思える人、手放していいの?』

『でも、不安…』

『うん。不安よね』

『軽蔑されるんじゃないか…今みたいに一緒にいることも出来ないんじゃないか…そうなったら…』


『私も不安だった。…モモはそんな子じゃない、きっと。信じよう。ね?』

不安で胸がいっぱいになる。

恋ってこんなに苦しいんだ。

今なら分かる。

セイヤも、苦しんでいたんだよね。


『伝えなきゃ、わからないよ』


窓から見える、数多の光。

私は覚悟を決めた。