君にかける魔法

我ながら上出来だ。
それにしても美しいの一言に尽きる。
流石の熊沢君も、放っておけなくなるだろう。

次は浴衣の着付けだ。
前開けのジャージを来てくれていたおかげで、ヘアメイクが崩れる心配がない。
ナツキのファインプレーだ。
「はい、お願いします!」

ナツキはなぜかTのポーズ。
「手そんなに上げなくても大丈夫だよ、リラックスして」
キャミソール・見せパン・そしてチア仕込みの姿勢の良いTポーズ。
数秒してから、自分のとっていたポーズが可笑しいと感じたのか、ナツキは笑う。
今日はよく笑うな。

「こっち押えてもらっていい?…キツイけど我慢してね」
「ひやぁっ、きっつー」

スリムな体型だからこそ、タオル詰めたり、とにかく付けるものが人より多い。

「動かないで!インナー見えてる!しっかり押えてー、もう私が押える!」
「っ、…」

襟元をキュッと元の位置に戻した。
「苦しいー」
「浴衣小さいんじゃないー、はい我慢」
「うぁっ……」
「こっち押えて。」
初めての着付けは少し大変だったけど、無事成功。
帯も元々リボンの形になってるワンタッチタイプだったかは苦戦せず済んだ。


気づくともうすぐ18時。
「ナツキ、時間は大丈夫?」
「うん。迎えに来てくれるって言われたから」
私は身の回りの片付けを始めた。
一旦家に帰ったら青葉さんのところに行かなきゃ。