君にかける魔法

今年はナツキ専属ヘアメイクをしよう!
とわれながら馬鹿なことを考えていた。

「暇だからおつかいでもするけど」
「じゃあ、お願いしようかな」

バイトもなければ暇すぎるので、近所のスーパーにおつかいだ。
ファミリー層が多い住宅街だから、1人で高校生がおつかいとなると、少し不思議な目で見られてしまう。
一人暮らしの大学生ぐらいにでも思って、こっちをさほど見ないでいただきたい。

「ソノ!」

…ソノ、

その呼び方をするのは、

「良かった。人違いじゃなかった」
「青葉さん!この辺住んでたんですか」
「そう、大学入ってからね」

バ先の先輩・青葉 透(アオバ トオル)さん。
国際系の大学の3年生。
就活の合間を縫ってたまにバイトしている。

「おつかいなんて、高校生なのに偉いね」
「暇なんですよ。バイトないと」
よく分からないけど2人でお買い物して、しまいにはアイスまで奢っていただいてしまった。
2人で遊具のない公園のベンチに座り、アイスを食べた。

「すみません。奢っていただいて…」
「気にしないで、僕もちょうど食べたかったんだよ」
青葉さんはトオルという名の通り、色白で色素が薄い、そして穏やかで優しい。