君にかける魔法

白いワンピースに身を包んだハルカは、いつもより可愛さが増していた。
(これが恋する乙女というやつか…、ヤマト君いるし)

一人一人にハルカが声をかけていく。

「モモ。」

私の番だ。

「モモに会えなかったら、ここで友達なんか出来なかった。楽しかった。」
「うん、私も出会えてよかったよ」

「また遊びに来るから、」
「うん。」

ハルカの目から大粒の涙がこぼれる。
私たちは抱きしめあった。
何回も引越しを繰り返しているとはいえ、こんなこと慣れるわけが無い。

「ほら、早くヤマト君のとこいきな」
「モモのいじわる」
「LIN○いくらでも送り付けてやるから、ほら早く!」

私たちに手を振り、ハルカは駅の待合室にいるヤマト君の所へ向かった。

「後は、ふたりの時間にしよっか。」

少し出発時間まで待ち、駅のホームからハルカを見送った。

恋する男女のなんとも言えない表情。
手を振る友達。
発車のアナウンス。
ホームの屋根からもれてくる太陽の日差し。
背中を押してくれるような夏の風。


『奏伊で過ごした時間が他のどこで過ごした時間よりも楽しかった。モモのおかげだよ!』


電車が見えなくなるまで手を振った。
ちょうど見えなくなった時、私のスマホにLIN○が届いた。