君にかける魔法

ベンチに座った熊沢君の顎をクイッとしてクルミちゃんが話している。

「私、よく見てるの。…好きだから。」
「…おいおい。俺ら…」

「私が手に入れるわ」

気味が悪すぎて私はその場をそっと通り過ぎた。
熊沢君に対して顎クイって…

まさか、クルミちゃんと浮気!?

信じたくないけど、あの雰囲気…
怖くなった。
絶対ナツキに言えない。

その日の夜は色々考えすぎたせいか、一睡も出来なかった。
次の日の一限が自習だったので仮眠が取れた。

これは私の胸の奥底に閉まっておこう。
平穏に…普通の学生生活を……







毎日普通に授業をこなし、放課後は基本コンビニバイト、たまにハルカと遊ぶ。部活組のナツキとクルミちゃんとはなかなか遊ぶことは出来ないけど、普通の楽しい高校生活を過ごしていた。

ナツキは熊沢君とはそれなりに普通にお付き合いを続けているみたい。
忙しくタイミングも合わないから遊ぶとかは無いみたいだけど…

あっという間に時はすぎ、夏休みに突入していた。

ハルカがとうとう引っ越す日になってしまった。
駅には私とミコ(中学一緒だから3人でよく遊んだこともあった)、ヤマト君、ナツキとクルミちゃんは部活の休憩時間に抜け出してきてくれた。

「みんな、ありがとね!」