君にかける魔法

私は少し目線を上げて、ナツキちゃんの頬に手を添えた。
少し驚いた顔のナツキちゃんと目が合う。

「顔、赤いから、風邪?無理してきてくれたの?」
「そんなこと…」

ギュッ。



「どうしたの?」

私はなぜかナツキちゃんの腕の中にいた。
物陰だから周りからは見られていないが、

なんで…

「モモちゃんが優しすぎて、調子狂うわぁ」
「…また何かあったの?」

「ううん。」

しばらく経って、ナツキちゃんは私を解放する。

「…モモちゃんが彼氏ならきっと幸せなんだろうなぁ」
「私、男の子っぽいってこと?」

「そういう意味じゃない!」とナツキちゃんは笑った。
私にはその意味が分からなかったけど、ナツキちゃんが笑ってくれた。


「私、ナツキちゃんの味方だから。」

私は真っ直ぐナツキちゃんの方を向いて言った。
無意識のうちにナツキちゃんの手をぎゅっとしてしまっていた。

「辛くなったらいくらでも言ってね。気を使わなくて大丈夫だから。見た目のお手伝いだけじゃなくて、私じゃ頼りないかもしれないけど、力になれればなって…」

クスッと笑うナツキちゃん。

「ありがたくそうさせてもらう、モモ!」
「よ、呼び捨て!?」
「モモも呼んで!」

「……ナ、ツキ」

「よしっ!帰るぞー」