君にかける魔法

「イーリスなの!?」
「ナツキちゃんはリリーなんだ!」

私が指を指したイーリスは頼もしいお姉さんタイプ、
ナツキちゃんが指をさしたリリーは妹らしく甘え上手なタイプ、

「ナイスカップリングだ!」

ナツキちゃんが目をきらきらさせながらイーリスとリリーの絵を見ている。
物語の中で2人は恋人同士のような関係になるのだ。
"恋人同士"では無い理由は、物語の中で決定的なことを断言していないから。

「ナツキちゃんってさ、」
「ん?」

「百合もいけたりする?」


「…え、ウェルカム。」


恐る恐る聞いたことに対し、あっさり返答された。
私はオールジャンルいけてしまうので。
どうやらナツキちゃんの中では変ではなかったみたい。
どの性別の組み合わせでも、その中に確かな愛や恋心があることが私にとっては羨ましく思えてしまう。
そういう関係性の儚さがこの作品に引かれる魅力なのかも。

「これ、お揃いにしない?」
「いいね!」

イーリスとリリーのアクキーがセットになって商品棚に置いてある。

ラスト1つみたい。、

お金を割り勘で支払い、展覧会会場を後にした。
また少し顔が赤くなっていた。
さっき写真を撮った時も少し赤くなっていた。

「無理、してない?」
「何が?」