君にかける魔法

「モモちゃん服かわいい~、お団子なの今日?」
「バイトでまとめなきゃいけないから」
小花柄のワンピース、ボブヘアをまとめた小さめのおだんごヘア。
ナツキちゃんの隣に並ぶと、お子様感が否めない。

「じゃ、いこうか…あっちだって!」
「え、別に急いで…」
「行くよ!」

ナツキちゃんが私の左手を握り走り出した。
駅前だし、…目立つ。
でもそんなことなんて全く気にしていない様子で、私のペースに合わせ少し速度を落としながら笑顔で走る。
時間なんかまだまだあるじゃない。
と思いつつも、嬉しそうな表情を見て私も笑顔になってしまった。



「こんなにキャラクターいたんだね」
「改めて見るとねー」
アニメの展覧会にいくのは初めてだった。
作画やアニメの歴史、キャストのサイン等ファンにはたまらないイベントだ。

パネルの前で写真を撮ってもらう。
スタッフさんも結構いたので撮っていただくことに
「おふたりさーん、もう少しよってー」
「わかりました、ナツキちゃん」
「…うん!」
2人でピースする。
「撮りますよー」

パシャッ

「後でナツキちゃんに送るね」
「ありがとう」

ん?

「顔、赤いよ?」
「えぇっ!」
変な声を上げるナツキちゃん。
「ナツキちゃん、色白だから分かりやすいねー」
「…テンション上がっちゃって、へへっ」
意外とオタクだった星川奈月。
学校での姿とやっぱり違いすぎて、面白いなって思う。

「ナツキちゃんはどの子が推し?」
「じゃ、せーので指さそうよ、」

「「せーのっ」」