君にかける魔法

私はその時、分かってしまった。

あなたを知った1年前からきっと思い続けていたこと。


好き。



たくさんの人がいる廊下だって、

集会の人混みの中だって、

私はあなたを見つけられた。


この小さくて可愛い、あなたを


私のものにしたい。


なんて強欲なんだ、私は。

彼氏にすらこう思ったことは無かったのに。



可愛いらしい寝顔は、ゆっくりと目を開き、私と目が合った。

「…起き、た?」

その目線は私の後方、時計の方に向かう。

私は下校時間が過ぎていることを伝えた。


「ほ、星川、さん!?」


驚くのも仕方が無いよね。

私が一方的にあなたのことを知り、勝手に追いかけてしまっていたんだから。

「星川さんこそ、なぜ?」

「あっ」と思い、咄嗟にお弁当箱を視線に入らないように隠した。
なんか恥ずかしかった…
今思えばかっこつけたかっただけだったのかも。

「うちらの部活は明日からなの。」

ポニーテールしてるから、バレバレだっつーの。
何やってるんだか。

恥ずかしくなって窓際にいった。


見慣れた景色のはずなのに、

オレンジ色に染ったその景色は、私に勇気を与えてくれた。


「私に……魔法をかけてくれませんか?」