君にかける魔法


若葉さんはもともと綺麗な顔立ちだけど、より一層魅力が引き立つのがわかる。

それよりも私の目が吸い寄せられたのは、集中した、優しい顔の美園さん。
ミルキーに似てるけど、全然違う。

彼女には彼女にしかない、素敵なところがある。

もっとあなたのことを知りたい。
もっとあなたに近づきたい。

仲良くなりたい。


ふと我に返り、自分が何のためにここに来たのかを思い出し、急いで戻ろうとする。
足を少しぶつけてしまい、その音に気づき教室の中から声がした。

私は走り、その場を後にした。

顔が熱かったのは、きっと走りすぎたせいだ。






「ナツキ、帰らないの?」
「お弁当教室に忘れたー、帰ってて大丈夫!」

春休み明けのテストが終わった日だったと思う。
久しぶりの部活が楽しみすぎて急いで練習に向かったら、お弁当箱を教室に忘れていたことを思い出した。
腐っちゃう…と思い、急いで階段を駆け上がり、教室に入る。

(あったー!)

1番前の席、お弁当箱の入った袋はすぐに分かった。


私の視線の片隅に、艶やかな黒髪が目に入る。

(美園さん、寝てる…)

私は音を立てないように自分の席に座り、可愛らしい寝顔をそっと眺める。