君にかける魔法

高校に入って、楽しすぎた。
全国大会を目指す環境。
超強豪校とまではいかないけど、みんなで頑張るって最高だった。


そんな感じに楽しく過ごしてたら、出会ってしまったんだ。


「ミルキーみたいな子がいたの!」
「何言ってんの?」
「ほら、いつもの!この子!」

私が好きなアイドル・みるきちゃん(通称・ミルキー)に激似の子が他クラスにいた。

ミルキーは黒髪のボブで、グループメンバーの中で身長は低め、親近感が湧くようなルックス、
純粋で一生懸命な感じが…推せる。


いいなぁ…
ミルキーに似てたっていうのもあるけど、綺麗な黒髪、清楚な感じも可愛かったし、

その日から推しを見ているような気分で、たまに見つける"名前の知らない女の子を見ていた。
隠れファンって感じかな?



2年になって驚いた。

(み、ミルキーが一緒のクラス!?)

教室に入るないなや、え!?

私の真後ろの席っ!?


座席表を見て、彼女の名前を覚えた。
『美園 萌桃』さん。





ある日見てしまった。
部活の次のイベントで使うものが旧校舎にあるのを思い出し、人気のない廊下を歩いていた時だった。


(み、ミルキ、美園さんと、若葉さん!?なんでここに!?)

2人がいる教室をちらりと除く。

美園さんがどこから持ってきたのか分からないメイク道具とアイロン等を使っていた。

(短時間で…すごい……)