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『レズかよ。気持ち悪っ、』

気持ち悪い、か…

「ナツキ、連絡とってないの?」
「うん。あんなだったから、ゆっくりさせてあげたい」


あの日、明らかにモモの様子がおかしくて私はこっそりあとをつけていた。
通報されれば、ただのストーカーになるところだった。

話し声が聞こえてくる…

あの人、見たこと、


思い出した、

あの人学園祭にいた。

私と変わらないくらいの身長?
少しあっちの方が高い。

その男は、徐々にモモの方に近づいていく。

後ろ姿でも分かる不穏な空気。


私はその男の前に立つ。
その口から放たれる言葉全てがウザい。

ある一言で私の何かがプツンッと切れた。


あぁ良かった。
こんなところで、昔一瞬習ったボクシングが役に立つとは。

私の右手の拳は、その男の頬に直撃し、男は口の端から血を流していた。

その男がいなくなり、モモを見た。


小柄な体は震えていて、目に光が無くて、今にもどうにかなってしまいそう。



私たち、出会わなければ良かったのかな…



モモの家から1人歩く。

私の今持っているこの感情は、他者から気持ち悪いんだ。

私が好きとか言っちゃったから、全ての歯車が崩れていったのかな。




私はあなたに何を求めない。

ただまた笑って、普通になりたい。


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