「今から俺が、このしっぽを振るから。ゆっくりゆ~っくり、ユラユラさせるから。
海花はしっぽと同じように、体を左右に揺らしてね。それじゃあ、はじめるよ」
「……はい」
優雅に微笑むミルキー様が、しっぽを振りだした。
右に左に。ゆっくりゆっくり。
しっぽに合わせるように、私も肩を大きく傾ける。
「呪文を唱えるのが恥ずかしすぎなんだ……笑わないでね……」
ミルキー様が、赤くなった頬を手の甲で隠している。
三角耳も自信なさげに垂れていて、可愛くてたまらない。
「モフモフ……わんわん……モフモフ……わんわん……」
震え声に溶けている、ミルキー様の羞恥心。
「モフモフ……わんわん……モフモフ……わんわん……」
照れを隠しながら、ミルキー様は呪文を唱え続けてくれている。
嬉しいです。
メイドの私のお願いを、ミルキー様が叶えてくれたこと。
恥ずかしがりながらも。
一生懸命。
私だけのために……