とりあえず、オロオロ王子は却下。

情けなさすぎ。頼りなさすぎでしょ。

心に余裕のある、完璧な王子様を演じなくては!



そう思って、深呼吸をしてみたけれど……


あれれぇぇ……効果なし。


むしろ俺の心臓が、爆音を鳴らすように暴れ出してしまった。



俺の目に映るお姫様が、予想外の表情をしていたからなんだけど……



なぜ海花が、恥ずかしそうに顔を赤らめているの?


二人だけの狭い空間で、照れ顔はやめて。

伝染して、俺まで恥ずかしくなってきちゃったから。




ドキドキが、俺の鼓膜を揺らす。



「ミルキー様に……お願いがありまして……」



うつむく海花のたどたどしい声に、俺の声まで余裕がなくなってしまった。



「珍しいね。うっ、海花から…頼みごとをするなんて……」



胸まで伸びたストレートの髪を指でこする海花。


恥ずかしさをこらえきれないのかな?

肩までフルフル震わせている。



それにしても、海花からの頼み事って何だろう?

もちろん、どんなわがままでも叶えてあげるよ。

俺のことを、大好きになって欲しいから。



「ミルキー様に、やって欲しいんです……」


「何を?」


「これ……なんですけど……」