それからの俺は、友達に笑顔いかける努力を始めたよ。
エンジェルスマイルが可愛すぎるお手本が、近くにいたからね。
海花が笑うたびに、人に好かれる微笑み方を勉強させてもらっていたんだ。
小学校3年生になったくらいかな?
わんこ獣人の俺を受け入れてくれる友達が、増え始めた。
もちろん海花のおかげ。
誰にでも好かれるおっとり笑顔を武器に、海花は俺をほめまくってくれていたから。
その後、知り合いが誰もいない虹の宮学園中等部に入学。
二人でお揃いの制服を着て、いざ入学式に。
その時、俺が海花にお願いをしたんだ。
「今の俺は、寝るとき以外は人間の姿を保てるようになった。だから犬獣人ということを隠して、中学校生活を送りたい」って。
海花に卒業して欲しかった。
俺の世話係をね。
もっと自分のために、大切な時間を使ってもらいたくて。
でもね、中学に入学してすぐに予想外な出来事が起きちゃった。



