見ていられなかったよ。
俺のせいで、海花が友達に嫌われているところなんて。
海花をいじめる友達にムカついて、俺は怒鳴り散らす。
時にはいじめっ子の襟元を掴んで、今にも殴りそうになって。
それを海花が必死に止めて。
どんどん俺が、友達から嫌われていく。
海花が一生懸命、俺の良さを友達に伝え続けてくれたのに。
幼稚園を卒業して、俺たちは小学生になった。
環境が変わっても相変わらず。
俺の目はきつく吊り上がったまま、人間拒否状態に。
友達なんていらない。
そう強がっていた俺だったのに……
いじめに耐える日々が、限界だったんだろうな。
普段なら強がって、人前で泣くなんて絶対にしない俺なのに……
小2の夏。星が綺麗な夜。
家の庭にある花壇の陰にしゃがみ込んだ俺。
「海花が嫌われるのは嫌だよ! 俺のことはもう、放っておいてよ!」
海花の前で、泣き出してしまった。
「獣人の俺の近くに来ないで! その方が海花は、人間の友達と仲良くできるでしょ!」
わめき声に涙を溶かしながら。
大声で泣き叫ぶように。



