もちろんそんなことは聞けなくて……
「1時間目後の休み時間に海花のクラスの前を通ったら、美記さんと楽しそうに話しているなって思ったけど」
結局、当たり障りのない質問に。
でも、聞いてよかったかも。
床に正座をする海花の顔が、パーッと華やいで。
思い出したかのように、手を口元にあてクスクス笑いだしたから。
海花の笑った顔は、ほんと癒しだぁ。
可愛すぎる。
あなたは、周りの人に幸せをふりまく天使ですか?
「もう海花、笑ってないで教えてよ」
「ごめんなさい。思い出したら、吹き出しそうになってしまって」
「美記さんって、破天荒な無茶をするときがあるけれど。それ系の話?」
「違いますよ、美記ちゃんのおうちで飼ってる猫ちゃんです」
「猫?」
「体が真っ黒で、目が黄色のすらっとした猫ちゃんで。『ジャンヌ』って名前なんです」
海花が楽しそうに笑っている。
俺も嬉しい。
耳を傾けながら、つい顔がほころんでしまう。



