さっきまで綾芽さんを睨みつけていたミルキー様のお父様。
表情を一変させ、綾芽さんと目線を合わせるようにしゃがみ込むと
「人間だらけのこの世界、獣人は生きにくいよな」
優しい笑みを浮かべて、綾芽さんの頭を撫で始めた。
これには綾芽さんも、徐々に顔が苦しそうに歪んでいって。
涙腺も緩んでいって。
「私だって獣人じゃなかったら、好きな人を自分で見つけて自由な恋愛ができたのに……。白樺財閥の娘とか……親が決めた婚約者とか……犬獣人のと結婚しろとか……ほんと無理!」
心の闇を吐き出すように、涙声を張り上げだした。



