「7歳の時、私を可愛がってくれていた執事に誘拐されんだ。闇の獣人オークションに出品されてね。私を落札した人間が経営する違法の獣人バーで、3か月間働かされんだ」
7歳なんて……
まだ小1くらいなのに……
「誘拐した執事は、良い人間だと私が心を許しきっていた相手だっただけに。無事に保護され家に帰ってきてからも、人間不信になってしまって」
……酷すぎです。
……それはトラウマになってしまいますね。
「それからなんだ。私は極度の人間嫌いになって。人間は卑劣な低レベル民族だ!って思い込んで。人間を憎んで冷たい態度をとることで、自分の心とプライドを守り続けてきたんだ」
そうだったんですね。
「でも綾芽にきつい言葉を浴びせながら、私は気づいてしまった。私も綾芽と同じだと。私に優しくしてくれる人間さえも、私は拒絶して、傷つけてきたからな。私は月見家の跡取りを育てる立派な人格なんて備えていない。綾芽をしかりつける資格なんてなかったんだ」



